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連載第44回/スモールボートのエアコンについて考えてみよう

スモールボート用設置型マリンエアコン

毎年、気温が高くなり暑さを感じるようになると、ボートにもエアコンが欲しくなってきます。海で遊んでいるのだから暑いのは当たり前ともいえますが、体が冷房に慣れているせいか、船内が蒸し暑いとどうしても違和感を覚えてしまいます。

では、ボートで涼しく過ごすためにはどうしたらよいのでしょうか。団扇や扇子であおぐといった江戸前の風流な方法も考えられますが、今回は電気を使用した冷房・送風器具について考えてみます。

ボートで使える電源は大きく2系統

電気を使用するといっても、ボート上での電源供給方法は大きく分けて2系統が考えられます。

ひとつは、発電機やマリーナの陸電ポストから得られる交流電源です。もうひとつは、ボートに搭載されているバッテリーから得られる直流電源です。

ここでは、スモールボートで現実的に考えやすい、12Vバッテリーを基準としたバッテリー電源のシステムについて考えてみましょう。

12Vバッテリーで使える小型ファン

マリン用や自動車用の小型ファンであれば、簡単な配線を組むだけで、バッテリーから直接電源を得て涼むことができます。

小型ファンは消費電力が比較的少ないため、スモールボートでは導入しやすい冷房対策です。キャビン内の空気を動かすだけでも、体感温度は大きく変わります。

インバーターを使って交流電源を得る方法

バッテリーに、電圧変換装置であるインバーターを接続すれば、家庭用と同じような交流電源を得ることができます。これにより、家庭用の扇風機や、水を注入して使用する冷風機などを設置することも可能になります。

ただし、インバーターはバッテリーの電源を交流に変換しているだけです。電力を大量に消費する機器を使用すると、バッテリー容量を急速に消耗してしまいます。

バッテリー容量と消費電力の考え方

たとえば、120アンペアアワー、つまり120Ahのバッテリーを考えてみましょう。これは、12V×120A=1440W相当の電力を1時間で消費すると、理論上バッテリーが空になるという意味です。

もちろん実際には、バッテリーの種類、放電特性、インバーターの変換効率、バッテリー保護の観点から、理論値どおりに全量を使えるわけではありません。余裕を持った電力計画が必要です。

オルタネーターからの充電も考慮する

エンジンを始動しておけば、オルタネーターからバッテリーへ40Aから60A程度、約400Wから700W相当の電流が供給される場合があります。

その範囲内で電力を使用すれば、理論上はバッテリーを大きく消費せずに済む可能性があります。ただし、実際の発電量はエンジン回転数やオルタネーターの仕様によって変わるため、過信は禁物です。

インバーターで動かせるビルトイン型エアコン

スモールボート用携帯型マリンエアコン

最近では、インバーターで始動できるビルトイン型のエアコンキットも発売されているようです。スモールボートでも、条件が合えば本格的な冷房を検討できるようになってきました。

ただし、バッテリー容量やオルタネーターの出力性能には限界があります。そのため、大きなエアコンキットを設置するのは難しく、現実的にはランニング電力500W前後の小型エアコンが目安になるでしょう。

BTUで考えるマリンエアコンの能力

スモールボートでエアコン能力を考える場合、BTUという熱量の単位を知っておくと便利です。参考として、スモールボートでは1立方メートルあたり約600BTUの冷房能力が必要と考えられる場合があります。

たとえば、米国製のマリンエアシステム社のエアコンを例にすると、5000BTU程度のユニットがスモールボートではひとつの限界、または現実的な候補になるかもしれません。

ただし、実際に必要な能力は、船内の容積、断熱性、直射日光、窓の大きさ、使用人数、換気状態によって変わります。単純なBTUだけで判断せず、電源容量と設置環境を合わせて検討することが大切です。

スモールボートで冷房を考えるときの注意点

スモールボートでエアコンを使う場合は、冷房能力だけでなく、電源容量、始動電流、インバーター容量、バッテリー容量、配線の太さ、ヒューズやブレーカーの容量を確認する必要があります。

特にエアコンは、起動時に大きな電流を必要とする場合があります。ランニング電力だけを見て選ぶと、始動できない、インバーターが停止する、バッテリー電圧が急低下するといったトラブルにつながることがあります。

まずは小型ファンや冷風機など、消費電力の少ない方法から試し、ボートの電源設備に余裕がある場合に小型マリンエアコンを検討するのが現実的です。

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