連載第33回/インストルメントパネル その3
エンジン関係のインストルメントについては、前号で紹介したとおりです。今回は、エンジン以外の燃料系統に関するメーター類を取り上げてみましょう。
燃料系統の計器は、航行中の燃料残量を把握するだけでなく、燃料切れや燃料漏れによるトラブルを防ぐためにも重要です。特にガソリンエンジン艇では、燃料管理と換気確認が安全運航に直結します。
フューエルメーター/燃料計
燃料タンク内の残量を確認する計器
フューエルメーターとは、燃料タンク内の残量を計測する燃料計のことです。運転席で燃料残量を確認するセパレートタイプと、燃料タンク本体に直接設置されているダイレクトタイプがあります。
メーターに表示されているアルファベットの「E」は、空を表す「Empty」の頭文字です。「F」は、満杯を表す「Full」の頭文字です。操船者はこの表示を見ながら、航行中の燃料残量を判断します。
燃料センダーとフロートユニットの仕組み
燃料計は、どのようにして燃料の残量を測っているのでしょうか。一般的には、ガソリンタンクに設置されているセンディングユニット、または燃料センダーと呼ばれる部品を使って残量を計測しています。
燃料センダーには、フロートと呼ばれる浮きが付いています。このフロートが燃料の増減に合わせて上下し、その動きによって電気抵抗が変化します。燃料計はその抵抗値の変化を読み取り、メーター上に残量を表示します。
フロートは、針金のようなアームによって支えられています。そのため、フロートの位置やアームの長さ、燃料タンクの深さが合っていないと、実際の燃料残量とメーター表示にズレが出ることがあります。
燃料計の表示がズレる原因
燃料タンクの深さに合ったユニットを設置していない場合、メーターでは「E」を示していても、実際には半分近く燃料が残っていることがあります。
通常は、メーターが「E」に振り切っても若干の燃料が残るようにフロートを設定します。これにより、完全なガス欠になる前に給油できる余裕を持たせています。
しかし、アームが長すぎる場合は注意が必要です。メーター上では3分の1程度の燃料が残っているように見えても、実際にはガス欠になってしまうことがあります。
ボートのガソリンタンクにも、フロートユニットが取り付けられているはずです。燃料計の表示に狂いがある場合は、燃料センダーの取付位置、アームの長さ、フロートの動作を確認することで、ゲージの調整ができる場合があります。
燃料計が動かないときの確認ポイント
燃料計が動かなくなった場合は、燃料センダーのユニットが錆びて接触不良を起こしている可能性があります。また、フロートが外れていたり、アームが動かなくなっていたりする場合もあります。
燃料計は、原理としては比較的シンプルな構造です。そのため、配線、メーター本体、燃料センダー、アース不良などを順番に確認すれば、原因を見つけやすい計器でもあります。
構造を理解していれば、燃料計を新設することも比較的難しくありません。ただし、燃料タンクまわりの作業はガソリン蒸気や火花に注意が必要なため、安全確認を徹底して作業する必要があります。
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燃料漏れ探知計
エンジンルーム内のガスや燃料漏れを監視する計器
ボートには、ブロワーモーターと呼ばれるエンジンルーム用の換気扇が備えられていることがあります。では、このブロワーモーターは何のために付いているのでしょうか。
通常、ガソリンエンジン艇では、エンジンを始動させる前にブロワーを作動させます。これは、生ガスなどの可燃性ガスがエンジンルームに充満している場合に、バッテリーや電装品の火花が引火して爆発する事故を防ぐためです。
そこで役立つのが、燃料漏れ探知計です。このメーターのセンサーをエンジンルームに設置しておくことで、エンジンルーム内の環境をインジケーターやアラームでモニターできます。
仕組みとしては、マンションなどに設置されているガス感知装置に近いものと考えると分かりやすいでしょう。古いガソリンタンクを使用している場合や、燃料ホース、接続部、タンクまわりに不安がある場合には、燃料漏れを早期に検知する手段として有効です。
探知計を設置してもブロワー運転は必要
燃料漏れ探知計を設置しておけば、事故を未然に防げる可能性は高まります。設置自体も比較的簡単なため、安全対策として検討しやすい装備です。
ただし、燃料漏れ探知計を設置したからといって、ブロワーの運転を省略してよいわけではありません。事故防止のため、エンジン始動前にはできるだけブロワーを回し、エンジンルーム内の換気を行うことが大切です。
燃料系統の計器は、燃料残量を知るためだけの装備ではありません。燃料切れ、表示誤差、燃料漏れ、ガス滞留といったリスクを早めに把握し、安全にボートを運航するための重要なインストルメントです。
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