連載第30回/オイル交換ポンプを考える
シーズン前のメンテナンスとして重要なのが、4ストロークエンジンのオイル交換です。今回は、ボートエンジンのオイル交換作業に便利な、オイル交換ポンプについて考えてみましょう。
ボートエンジンは、自動車と違って長時間の高負荷運転になりやすく、エンジンをダイレクトに酷使する場面が多くあります。そのため、シーズン前にエンジンオイルを交換しておくことが望ましいといえます。
オイル交換ではオイルフィルターも同時に交換する
エンジンオイルを交換する場合は、同時にオイルフィルターも交換することをおすすめします。オイルフィルターは、エンジン内部の摩擦によって生じる金属片や、不純物などを濾過してくれる重要なパーツです。
オイルフィルターの中にも、オイルが500ミリリットル前後残っている場合があります。そのまま古いオイルフィルターを装着していると、新しいオイルに古いオイルが混ざり、せっかくのオイル交換作業が中途半端になってしまいます。
エンジンによってオイルフィルターのサイズは異なります。オイル交換前には、必ず適合するオイルフィルターのスペアを用意しておきましょう。
使用するエンジンオイルの選び方
エンジンオイルは、基本的にエンジンメーカーの純正品を使用することが原則です。純正オイルは、そのエンジンの使用条件や指定粘度に合わせて選ばれているため、安心して使用できます。
どうしても純正オイルの入手が困難な場合は、自動車用オイルで代用できるケースもあります。ただし、ボートエンジンは自動車と違い、高速回転や高負荷での使用が多くなるため、必ず適合する品質、粘度、規格のものを選ぶ必要があります。
ボートエンジンのオイル交換は上抜きが基本
いざオイル交換を行う場合、ボートエンジンでは自動車やオートバイのように、エンジン下部のドレーンプラグを外してオイルを抜く作業が難しい場合があります。エンジンルームのスペースが狭く、下側へアクセスしにくいことが多いためです。
そこで、エンジンオイルのレベルゲージ穴を利用してオイル交換を行う方法が便利です。レベルゲージ穴より細いチューブをオイルパンまで差し込み、ポンプで古いオイルを吸い上げます。
この方法であれば、狭いエンジンルームでも作業しやすく、ボートの上で比較的簡単にオイル交換を行うことができます。
オイルを吸い上げるときの注意点
オイル交換ポンプを使用するときに注意したいのは、エンジン内部に空気を入れながらオイルを抜くことです。空気が入らない状態で強く吸引しても、エンジン内部が真空に近い状態になり、オイルがなかなか上がってこないことがあります。
また、ポンプ内部までオイルが到達するまでは、ゆっくり吸引することが大切です。最初から強く吸い上げようとすると、空気だけを吸ってしまい、うまくオイルが抜けない場合があります。
このポイントを押さえれば、誰でも比較的簡単にオイル交換ができます。初めて作業する場合は、まず水を使って吸引の感触を確認しておくと、本番で失敗しにくくなります。
ドリル装着型ポンプと電動式ポンプ
ドリル装着型ポンプの特徴
ドリル装着型ポンプは、電動ドリルの先に取り付けて使用するタイプのポンプです。エンジニアや整備に慣れた方には、非常に重宝されるアイテムです。
使い方は、ドリルのビットを取り付ける部分にポンプの軸を固定するだけです。ポンプを回転させることで、オイルを吸い上げる仕組みになっています。
使用する場合は、回転数をコントロールできるタイプの電動ドリルを選ぶことが大切です。回転数が高すぎると、粘度の高いオイルの吸い込みが追いつかず、いつまでたっても吸引できないことがあります。
電動式オイル交換ポンプの特徴
電動式ポンプも、基本的な考え方はドリル装着型ポンプとほとんど同じです。手動でポンピングする必要がなく、一定の力で吸引できるため、作業を効率よく進めやすいことが特徴です。
ただし、電動式であっても、最初から強く吸引すればよいわけではありません。オイルがチューブ内に上がってくるまでは、吸引状態を確認しながら作業することが重要です。
手動式オイル交換ポンプ
初心者にも扱いやすい手動式ポンプ
手動式オイル交換ポンプは、自分で吸引する力をコントロールできるため、初心者にも扱いやすいタイプです。電源が不要なので、マリーナや係留場所を選ばずに使用できる点もメリットです。
最初はゆっくりとポンピングし、オイルがチューブ内を上がってくる感触を確認しながら作業します。この感覚が分かるようになれば、よりスムーズにオイル交換ができるようになります。
激しくポンピングすると、オイルではなく空気だけを引っ張ってしまうことがあります。焦らず、一定の力でゆっくり吸引することが、手動式ポンプをうまく使うコツです。
オイル交換ポンプを使う前の確認事項
オイル交換ポンプを使用する前には、交換するエンジンオイルの量、適合するオイルフィルター、廃油を受ける容器、チューブの差し込み長さ、作業後の廃油処理方法を確認しておきましょう。
また、オイルは冷えた状態では粘度が高く、吸い上げにくくなります。エンジンを短時間運転してオイルを少し温めてから作業すると、抜き取りやすくなる場合があります。ただし、熱くなりすぎたオイルは火傷の危険があるため、作業時の温度には十分注意してください。
シーズン前にエンジンオイルとオイルフィルターを交換しておけば、安心してボートシーズンを迎えることができます。自分の作業環境に合わせて、手動式、ドリル装着型、電動式の中から使いやすいオイル交換ポンプを選びましょう。
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