連載第14回/発電機代用品のインバーターの利用のお薦め
冬の船上で感じた100V電源の必要性
数年前の大晦日のことです。当時の愛艇だったベイライナー2655に友人数名を乗せ、横浜港内で午前0時、つまり年を越した瞬間に思い切り汽笛を鳴らしてお祝いしようという計画がありました。
それは、私がボートを購入した時からの夢のひとつでした。毎年、陸から年越しの汽笛を遠くで聞いていたため、来年こそは鳴らす側に回ろうと思っていたのです。
ところが、大晦日の繁華街の喧騒とは無縁のように、冬の海は想像していた以上に寒く、暗いものでした。周囲にほかの船は見当たりません。
キャビンの中も冷え込み、体を温めるには、ガスボンベ式のガスコンロの周りに集まって暖をとる方法しかありませんでした。
発電機のない小型ボートの電源問題
発電機を積んでいないスモールボートでは、12V電源のアクセサリー用品しか使用できないため、本格的な暖房機を積んでいないことが多くあります。
純正オプションの12V簡易ヒーターがあっても、吹き出しダクトがミッドバースに設置されている場合、キャビン全体を暖めるには非力に感じることがあります。
12Vから100V電源が取れれば、家庭用の暖房機が使えるのに、と痛切に感じたものです。テレビも見たい、ラジオも聞きたい。私たちの生活は、電化製品なしでは快適でいられないというのが現実のようです。
では、100V発電機を設置せずに家庭用電化製品を使いたい場合、どうすればよいのでしょうか。
インバーターとは
そこで登場するのが、インバーターです。
ここでいうインバーターとは、12Vや24Vのバッテリー電源を、家庭用電源である100Vから120V程度の交流電源に変換して出力する装置のことです。
インバーターは出力容量によって大きさが異なり、小型のものから、大容量タイプまでさまざまな種類があります。
インバーターの取付方法とケーブル選び
取付方法は比較的シンプルです。バッテリーターミナルとインバーターの入力端子を接続することで、バッテリー電源を100V電源として利用できます。
ただし、インバーターの能力に合った太さのケーブルを使用しないと、電力低下や発熱の原因になります。自動車用バッテリーケーブルなど、容量に見合ったケーブルを選ぶことが重要です。
シガープラグタイプの小型インバーターであれば、自動車用のシガーソケットを設置することで手軽に使用できます。ただし、シガーソケット経由では大きな電力を必要とする機器には向きません。
バッテリー容量とツインバッテリーの考え方
インバーターを使用する場合、バッテリーには90Ah以上の能力があると安心です。
ツインバッテリー、つまり2個のバッテリーを使い、ひとつをアクセサリー用、もうひとつをエンジン始動用として分けておくと理想的です。
通常、インバーターには100V用のコンセントが標準で付いているため、テレビなどの電化製品をすぐに接続できるものもあります。
使用時間とオルタネーター能力の注意点
ただし、忘れてはいけないことがあります。その電源は、すべて自分のボートのバッテリーから供給されているという点です。
エンジンを回さずに使用できる時間は限られているため、できるだけエンジンを始動させた状態で使用することをおすすめします。
通常、ノーマルエンジンのオルタネーターからバッテリーに充電される12Vの電流は、40Aから60A程度と考えられます。その範囲を超えて電力を使い続ければ、エンジンをかけていてもバッテリー残量が減っていく可能性があります。
1500Wインバーターの目安
インバーターの1500W表示は、1.5kWと読み替えることができます。
1.5kWは、一般家庭では15A程度の電力と考えると分かりやすいでしょう。比較的コンパクトなタイプもあり、ひとつあればボートだけでなく、自動車などでも便利に使えます。
インバーターを適切に設置すれば、発電機を搭載していないボートでも、より快適で便利なボートライフを楽しみやすくなります。
インバーター設置で使用可能な電化製品
- テレビ
- ビデオ
- ラジオ
- ステレオ
- 電気ポット
- ドライヤー
- 電気ヒーター
- 工作用電動工具
- 電子レンジ
- 冷風機・温風機
- コンピューター
- 冷蔵庫
- 炊飯器
- 掃除機
- コーヒーメーカー
- 照明器具
- 携帯電話の充電
ただし、コンプレッサーを使用する大型エアコンのように、起動時の電流や消費電力が大きい機器には基本的に向きません。使用する機器の消費電力とインバーターの定格出力を必ず確認してください。
安全に使うための注意点
インバーターは便利な装置ですが、電源の元はバッテリーです。長時間の使用や大容量機器の使用は、バッテリー上がりやケーブルの発熱につながる場合があります。
安全に使用するためには、インバーターの容量、バッテリー容量、配線の太さ、ヒューズやブレーカーの有無、設置場所の放熱性を確認することが大切です。
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